第1回
(1989年12月 鳥栖駅にて)
鉄道ファン誌の「ドルトムントを探そう」
他、古レールに関する興味が高まって
いた頃である。
鳥栖駅で列車待ちをしていたときに、
ふと、目に付いたレールがあった。
ホームの明りに照らされて
「UNION D 1889 K.T.K」
の文字が読み取れた。
ドイツのドルトムント ウニオン社製の
レールである。
「1889」は製造年で明治22年だ。
「K.T.K」は、場所から推察して
九州鉄道会社と思われる。
日本国有鉄道発行の
「日本国有鉄道百年史 年表」
によると、
明治21年8月15日
九州鉄道会社は軌条およびその
付属品類を ドイツのドルトムント
ウニオン社に発注した。
とあり、
明治22年12月11日
博多、千歳川(仮)間を開業した
とあるので、間違いなさそうである。
それにしても、
偶然にも、ちょうど100年目に九州の
鉄道創世記のレールに出会えるとは、
と感激してシャッターを切った。